初釣りでハゼ釣りの楽しさ再発見

1月4日(火)、金沢八景の荒川屋からハゼに行ってきた。
ハゼという魚、身近な存在にも関わらず、船釣りとなるとこれまで一度も経験が無い。陸っぱりで気軽に釣れるという意識があるし、船となると湾奥出船が多いから、いつも横浜から京急の下り電車に乗ってしまう私にとっては近いようで遠い釣り物ということもある。一番最近ハゼを釣ったのは、夏にマゴチ釣りの餌確保のため船着場で釣った程度。20年ほど前には、真冬の京浜運河でケタハゼ釣りに嵌ったり、正月休みには横浜中央市場でダルマ船の上からのんびり脈釣りで狙ったりもしたが、遠い昔の記憶である。最近、BBSでハゼ釣りの話題が出たのを機に、年末あたりから俄かにケタハゼの釣り味と食味に懐かしさと興味を覚え始めていた私。今日お世話になる金沢八景荒川屋ではここ数年、カレイの産卵時期である12月中旬から1月上旬にかけて、カレイに代わって短期限定のハゼ乗合を出すようになった。同宿も今週の土曜日からカレイが再会するから、乗るなら今日がラストチャンスになりそう・・・ということで、今年の初釣りは趣を変えて船のケタハゼを嗜んでみることにした。

生憎、寒冷前線の接近で、前日から南西強風が吹き荒れている。釣り場は田浦沖の湾内のはずだから釣りはできるだろうが、今日はゆっくり起床して6時過ぎに船宿に確認の電話を入れてみた。女将さんによると出船は問題無く、既に先客が1名いらしているとのことだ。年末シロギス釣り大会の賞品で頂いた無料乗船券を使わせてもらうつもりだったので、先客がいらして良かった。(タダ券で私一人じゃマズイもんね。)ということで、いつもより1時間以上遅い6時15分に家を出た。7時過ぎには船宿に到着したが、陸を歩いていても凄い風、嫌なことに雨まで降ってきた。荷物を下ろそうと船に乗ると、左舷大艫に先程の先客と思われる方が1名だけ。私が2人目でちょっと寂しいが、社長が右舷大艫に入るよう勧めてくれた。天候が悪いせいか、シロギスの午前船も空いているが、右舷大艫に常連A元さんを発見。お話を伺うと午前・午後の通しでやるらしい。今日は風が強いので、中の瀬には行かず猿島周りでやるらしいとのこと。最近攻めてないからデカイの出るんじゃない?なんて話をしたが、この風ではどうだか・・・ご健闘を祈りたい。


左:7時30分、午前キスの出船。右:8時、我がハゼ船も出船。

その後、ハゼ船にお客さんは現れず、定刻8時、乗客2名のまま社長の操舵により出船となった。八景島の前でスパンカを上げて、住友ドックを南西に回り田浦沖へと進む。一応キャビンに避難したが、完全に風裏となり、さほど飛沫を被ることもなかったようだ。自衛隊の船が係留されている長浦湾の奥へと進み、8時25分、船はポイントに停止して開始のアナウンスとなった。南西の風強く晴れ。潮色は緑掛かった薄濁り、水深は9m。今日は小潮で満潮が10時30分頃の予報である。さ〜て、始まったのはいいけど、どうやって釣るんだろう。(笑)仕掛けはシロギス用でも良いのだろうが、前日8号の針で全長45cmの2本針仕掛けを作成してきたので、まずはこれを使用。光物などは一切着けていない。オモリは指定の10号、テンビンはいつもシロギスで使用しているものより一回り小さいリン青銅の弓形固定式を持参した。本来なら2本竿で船下をリズミカルに誘って釣るのが江戸前的に粋な釣り方なのかもしれないが、コレ用に何も用意していないので、いつものシロギス和竿にスピニングリールの1本竿で臨む。

船下で微妙なモタレを取って乗せるような、そんなイメージの釣りをしたかったので、とりあえず船下に仕掛けを下ろし、オモリを浮かしたまま先針に動きが伝わる30cmくらいの幅で上下に誘って、オモリを20cmくらい上げたままアタリを待つか、そのまま縦に聞き合わせるような釣り方をやってみる。何と1投目からアタリが出たが掛け損ない。2投目、オモリを浮かした状態でクッと穂先を押さえるようなアタリが出て、そのまま食い込みを見ながら聞きアワセで乗せるとブルブルブルと初物がヒット。コレだよね!船長に向かってニッコリである。その後、入れアタリには程遠い状況だが、こんな釣り方でポツンポツンとアタリが出る。船長はマメに流し換えてくれ、大した流れも無いので、風に押させて広い範囲を探っていく。食いが渋いようでアタリが出ても掛けられないものが多い。これは釣り方が悪いのかどうなのかよく分からないが、経験が無いので試行錯誤。上手な方と一緒に来れば違うんだろうけどな〜。でもこのモタレから乗せのイメージは落ちギスの渋〜い時や空中戦でピンギスが銜えたアタリとほぼ同じか、水深が浅い分むしろ明確だから、そこそこは乗せられるのであった。

とは言ってもどうだろう、乗せ切れるのはアタリの半分くらいかもしれない。掛けられないアタリの割合がこの釣りの面白さ(=悔しさかな?)に関わっているような気がするし、それはそれでまた楽しみと、自分の腕を棚に上げてそう思った。餌の着け方も色々試すが、アオイソの尻尾の方を少し長めに房掛けにするのが一番アタリも食いも良いように思える。頭に近い方も使うが、少し揉んで柔らかくした方が食い込みが良さそうな気がする。2、3投アタリが無いときは、例え餌がしっかり着いていても交換した方がアタリを呼ぶようだから、臭いやエキスが抜けると食いが悪くなるのかもしれない。京浜運河の経験から言うと、本当はミミズを持って来たらもっと食いそうな感じも無いでもない。オモリを浮かせてアタリを取っているせいか、飲まれる確立は極めて低く、殆どがしっかり唇に掛かってくる。タップリ海水を入れたバケツに放すと飛び出してくるほど元気が良い。持参したエアポンプで酸素を補給し、今宵の『あらい』のために是非とも活かして持ち帰りたいと思う。今日のハゼのサイズは15、6cm級がメイン。今回は間に合わせの8号針だが、口がシロギスより大きいので、シロギス針なら9号相当が良いかも知れない。


ポイントの田浦沖長浦湾内、仰々しい船が何隻も停まってます。

相変わらず風が強いが、場所が場所だけに波は立たない。横を向くと竿が煽られてアタリが取れないので、後ろを向きっぱなしだ。長浦湾の中で細かい移動を繰り返すが、気が付くと周りに岩田屋や新明丸の姿も見える。この強風ではできる場所が限られてしまうだろうし、木更津沖もそろそろ終わりの様子なので、奥の手でこちらまで足を延ばしているのかもしれない。釣果の方は10時で13尾とアタリの割りに数は伸びていない。朝方はアタリがあっても掛けられないことが多かったが、この時間になると、アタリ自体が出なくなった。たまりかねて仕掛けを投げて手前に誘ってきたりもするが、思うような結果は出せない。どうも横の誘いはパッとしないし、置いといても全然食わない。結局、船下の釣りに戻ったり、また投げてみたりと手探り状態が続く。潮回り直後に1、2尾顔を出すと後はパッタリ、そんな繰り返しで12時で28尾。目標は50尾と考えていたが、本当にギリギリ届くかどうかのペースである。13時、湾の入り口の方に移動。水深は10mちょっとありそうだ。

最初に1尾釣れただけで、なかなかアタリが出ない。シロギス用の70cmの仕掛けに換えて、少し投げて叩きを入れた釣り方を試すと、いきなり良いアタリ。上がってきたのは22.5cmのシロギスだった。同じ釣り方を繰り返すと立て続けにシロギスが5尾釣れたが、ハゼが1尾も混ざらず苦笑。こっちの方が慣れてるもんな〜。湾の入り口の方が潮通しが良いのもあるだろう。でもまだこんな浅場にシロギスが居るんだな〜と感心。13時で37尾。午後に入ってからはすべて船下、若しくは船の動きによって仕掛けを少し斜めに引っ張った状態からのアタリである。70cmの仕掛けの先針に食って、上げたら着いてきたということがあったので、やはりアタリの出易い45cmの仕掛けに戻す。相変わらず単発なので色々試すが、シロギス釣りの時にやるような叩き釣りがけっこう効果があるようで、叩き後のゆっくりした聞き合わせに乗ってくる回数が増える。こんな釣り方良いのだろうか?誰かが見たらハゼ釣りでそんなの邪道だ!と言われそうだけど、効果があるように思えてならない。

そんなこんなで最後の1時間、ちょっとペースが上がって、14時53分にようやく目標の50尾達成で心の中で万歳!そして、その直後の14時55分、納竿のアナウンスとなった。クーラーに氷は入れず、新しい海水を入れてバケツの魚を全部移す。そのままでは重たいので、帰り際に魚が浸かる程度まで水を減らして持ち帰れば、たぶん家に着いても生きているだろう。(実際、針を飲まれた魚以外は全部生きてました。)今日はこれまでに無い程のんびりした初釣りを楽しませて頂いたが、ハゼの食いが渋かっただけに、アタリを取って掛けるまでの微妙な駆け引きを凝縮して楽しめたような気がする。欲を言えばもう少しアタリが多いと間が空かずにリズムが出るのかもしれないが、時期的にも終盤だし、この強風の中、釣りができただけでも感謝したい。初体験の船のハゼ釣り、やっぱり地味だけど、期待していた釣趣を味わえて、本当に楽しい初釣りになった。これならもう少し早い時期にやっておけばよかったなと真面目に思った次第である。来季は始まってすぐに1回やっておこうかな〜、できれば専用の和竿で・・・なんちゃってね。さあ今年も楽しい釣り、美味しい釣り、初めての釣り、いっぱいやるぞ〜!


本日の釣果 マハゼ 12〜19cm 50尾。外道にシロギス 14〜22.5cm 5尾。

【船宿HPコメント】
今日は南西強風。釣り人二人で出船。いつもより活性は低かったようですが、良型のハゼで、釣り人もビックリされていました。渋い時間帯のハゼに悩まされたり、思い通りの誘いに乗ってきたハゼに思わずガッツ!こんなハゼ釣りって面白いねと、ハゼの面白さを解かっていただきうれしいで〜す。

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