富浦沖のアマダイお土産いっぱい

2月21日(土)、久比里の巳之助丸からアマダイに行ってきた。
久比里では10月中旬から3月中旬までアマダイの乗合船を出している。アマダイ釣りはあの癒し系で美しい魚体、食味、上品な釣り味、そして50cmを超える大物が狙えるとあって、冬場の人気釣り物のひとつとして定着している。例年だとシーズン中に3〜4回釣行しているが、昨年12月、シーズン初の釣行で6本と良い釣果が得られ、すっかり満足してしまいそのままになっていた。気が付けば2月後半、既に終盤戦だが乗合船終了前にもう一度挑戦である。しかし、このところの状況が思わしくない。トップで2、3本、ボーズ当たり前という状況なのだ。昨日は大場所の剣崎下バタで型見ず、富浦沖移動でやっと型を見たとのこと。今日は何とか良型1本、今シーズン最後のアマダイ釣り、型を見て締め括りたい。

6時20分、船宿に到着すると、アマダイ船は左右艫に2、3人づつ、右舷ミヨシに先客がいらした。一度右舷艫3番に荷物を下ろしたが、もし満員になったら例え潮尻になってもオマツリなど四隅有利と考え左舷ミヨシ1番に移動した。受付を済まし、夫婦橋に目をやるとぎんぎすさんを発見。今日は久比里のシロギス偵察隊で川さんたちと山下丸から乗船のようだ。しばらくすると川さんが現れ、しばし夫婦橋の上で雑談である。


左:いつもの○特を持参、右:船宿支給のオキアミがバージョンアップ。

7時、船に戻り準備を開始する。私はいつもの付け餌を予め解凍して持参したが、船宿から支給される付け餌が写真のような餌にバージョンアップされていたのにはビックリである。これなら無理に持参する必要はないだろうが、やはり解凍に時間が掛かるので、事前にオキアミの尻尾を全部切っておくのは難しいかもしれない。

右隣のカワハギ船は、到着時にまだ左右大艫が空いているという普段では考えられない状況で、このところの激渋さ加減を反映している。左隣にはスミイカ船である。こちらもシーズン終盤、お客さん5、6名と少ないが、右舷大艫には女流釣り師、女性でスミイカ単独釣行、雰囲気も堂に入っていて何だかカッコイイ。胴の間には常連O氏さんもご乗船である。水深が深いため小型電動リールを使用する方がチラホラ見受けられる。


左:隣のカワハギ船は余裕の人数、右:久里浜港を出る。

徐々にお客さんは増えて、我がアマダイ船は右舷7名、左舷8名の15名が集まり、定刻より少し早い7時50分、貴則船長の操舵で出船となった。久里浜港で停泊しスパンカーを上げる。風はほとんど無く霞に煙るモッタリした空気に春を感じる。長かった防寒服ともそろそろおさらばである。「富浦沖まで行きますから30分くらい走ります。」と船長のアナウンス。船は航路を斜めに突っ切り、千葉県は富浦に向けてベタ凪の海を快走。こんな素晴らしい海で船に乗っていられるだけで幸せを感じてしまうのであった。


左:霞に煙る久里浜港、右:そろそろ富浦沖に到着か。

南房の険しく切り立った山々を臨みながら、8時45分、エンジンはスローダウン。付近にアマダイらしき僚船の姿は無い。南方には洲崎がはっきり見えている。何度か旋回し入念に山たてを行い、ビシッと船が停止され早速開始の合図が出た。貴則船長の船の止め方はいつもながらカッコイイな〜。さて第1投である。北東の微風、曇り、鏡のような素晴らしい凪、コバルトブルーに透き通る水色。水深は電動リールのカウンターで87m。今日は大潮で干潮が11時44分(横浜標準)だから前半下げ潮、後半上げ潮となり、潮変わりがあればどこかでチャンスがあるはずだが、この時間潮はほとんど動いていない。

私はいつものように枝針の位置でタナを意識し、時折大きく誘い、先針を浮かしてからまた落とし込む。タナ取りは約20秒に1回と頻繁に行うが、リールを巻いてタナを取ることはしない。底を取るときにリールのクラッチを切るとオモリがストンと落ちてしまいゆっくりした落とし込み操作ができない。また、オモリを急に落下させると餌を発見した獲物を脅かしてしまうと考えているからである。竿先を海面下まで巻き込んで、そこからの持ち上げ幅でタナを切るのが私流である。誘いは活性が高い時期は若干速め、活性が低いと思われるときはゆっくりめの誘いで待ち時間も長めと定説通り。しかし不用意にタナを低くするとアタリがはっきり出ないばかりでなく、竿の持ち上げで先針に十分なテンションが掛けられなくなり、バラシの原因になるのでお勧めできない。

市販仕掛けで3B程のガン玉を打った仕掛けがあるが、私はガン玉を打ったことは今まで一度も無い。潮により付け餌の位置をタナの切り方で調整するが、あくまでも高めで喰わす意識が重要だと考えている。意識して動かすのは枝針で、その先に付いている先針は枝針に遅れて、海底を這いながら付いてくる、そんなイメージの釣り方を心掛けているため、釣り方と仕掛けの長さの関係が重要なのだ。

次に餌の付け方であるが、マダイ釣りなどではオキアミの尻尾から1〜2関節まで落とすのが一般的である、しかし私の場合、アマダイ釣りでは1関節目の途中で切り、切り口の断面が極力小さくなるように心掛けている。これは2本針で誘いを続ける釣り方故、餌の回転を少しでも抑えた方が喰いが良いからである。針は丸カイズの13または14号、軸長の針で背中側を真っ直ぐ通し刺しにする。アマダイは吸い込むように捕食すると考えられ、頭だけかじり取るような食い方では無いので、私は経験上この方法が有効であると考えている。もしこれからアマダイ釣りを始めようとする方のちょっとしたご参考になれば幸いである。


左:餌付け、左が良い例、右はイマイチ、右:舳先にカモメモも停まる良い凪。

1投目で数回タナを取り直して1m強で待つとドン!という明確なアタリの到来である。送り込まずに少し聞き気味に持ち上げるとガンガンガン!と明らかに本命の針掛かりである。引きを楽しみながらユックリめに巻上げること、姿を現したのは27cm級と小さめであるが本命アマダイ。1投目で釣れるなんて初めてである。もちろん船中第1号、今日も良いことありそうかも。

船中、外道のアタリが賑やかである。水温がそこそこ高いのかもしれない。中でも今日はカナガシラの活性が高く、隣の釣り人は入れ食い状態、時折30〜35cm級も取り込まれているから良いお土産である。カナガシラも処理は面倒だが、癖の無いしっかりした白身で大変美味である。大型は刺身や鍋のネタには持ってこいであろう。私も小型主体ではあるがカナガシラ、アカボラなどのお土産が順調に貯まって行くのであった。

10時30分、ほとんど無風だが舳先が南を向いた。今日は後半南西強風が吹く予報だが時間まで何とか持って欲しい。10時45分、一瞬押さえ込むような前アタリを感じた。カナガシラでは無い。一呼吸おいてゆっくり大きく聞き上げるとズダダダン!と明確なアタリの到来。リールを巻き込み竿を立てもう一度確実に針掛かりさせる。これも大きくなさそうだが本命に違いない。無事抜き上げたのは先程と同級の本命アマダイ。予想通り先針に喰っていた。型は小さめだが早くも2本ゲットで今日はご機嫌である。この時間、潮はとろっとろの下げ潮、物足りない潮である。

12時、投入時に船が引っ張られたので道糸が斜めに入った。そのまま少しオモリを持ち上げ仕掛けをスライドさせるように誘いを入れると、ガツン!と大きなアタリで一気に喰い込んだ。巻き上げ中、重量感はあるがアマダイの引きでは無い。たぶんオニカサゴだろう。けっこう良い引きである。無事海面に姿を現したのはなんとも貴重なカンコであった。しかもオキメバルとの一荷。32cmとカンコにしては小型であるが、高級魚のお出ましにまたまたニンマリであった。

この時間、上げ潮に入っているはずだが流れはほとんど無い。たぶん朝から同じ潮方向だと思われるが、風向きが回っているので読むのがちょっと難しい。13時20分、上空の雲が消え舳先が南西を向く。風がそよそよしてきて、脱いでいた上着を着直す。船は風に押されエンジン流しで前進する頻度が多くなる。最終ラウンドに入り、もう一勝負決めたいところである。13時30分、確実に本命のアタリだったが巻上げで外れてしまう。潮が無いので喰い込みが弱いのかもしれない。続けてすぐにアタリ。これは掛け損なう。限りなく本命ぽかったから悔しい。2回連続失敗、何かがずれているのか?当たり方も午前中より渋いようだ。小さめのオキアミを付けて再投入である。

14時、微妙なアタリ、たぶん先針であろう。外道かもしれないが少し間を取ってから慎重に聞き上げると、続けてダンダンダンと穂先を叩く明快な引き込みで針掛かりである。これも同級だが3本目のアマダイ。ヨッシャ!次投でタナを切った瞬間またまた穂先を押さえるアタリ。穂先に感じる重みが途切れなかったので、そのまま送らず聞き上げで針掛かり。これはちょっと良さそうである。断続的に胴まで叩き込む心地よい引き味を楽しむ。上がって来たのは、本日最大の37cm。おまけで先針にカナガシラであった。操舵室で船長が拍手をしてくれている。私もVサインを返す。

14時30分、「あと10分で終わります!」と船長のアナウンス。最後の最後で大物ゲットなんて出来過ぎた話を狙ったが、最後の2投は餌取りの勝利に終わり不発。そのまま14時40分、納竿と相成った。終了と同時に風が強さを増してきたが、道具を片付け終わるまで船を止めていてくれるのは釣り人にとっては嬉しい配慮である。荷物を納めたバックとともにキャビンに非難である。帰路45分、楽しかった一日を回想しながら、しばしうたた寝の夢心地であった。

今シーズン2回のアマダイ釣り、6本と4本、出来過ぎの釣果である。残念ながら夢の大型は釣れなかったが、来シーズンのお楽しみに取っておこう。今日は外道も活性が高くクーラーの中は赤やピンクで大賑わい。とりあえずお約束で今晩はアマダイのお刺身。小型3本は贅沢に干物にしてみようか・・・。刺身、干物、天麩羅、唐揚げなどなど数日は美味しい魚が食べられそう。お土産タップリで釣り味満点のアマダイ釣り、ご興味のある方は是非お試しあれ。


本日の釣果、アマダイ 27cm〜37cm 4本。(竿頭)


外道大漁。カンコ(ウッカリカサゴ)32cm、カナガシラ、アカボラ(ヒメコダイ)、レンコダイ(キダイ)、オキメバル(トゴットメバル)、ムシガレイ、ガンゾウビラメ、アマダイの赤ちゃんは水深が深く放流できないので持ち帰りました。その他オキトラギスが多数釣れましたが、これは放流しました。

【船宿HPコメント】
甘だい・・富浦沖、潮:澄み、水温:14度
富浦沖の80〜90mを中心に流しました。1日下げ潮が流れ、外道の食いも良く魚の活性は良かったです。ホウボウ、ムシガレイが良く釣れました。本命の甘だいはイマイチでしたが、棚が合っているお客さんは型を見てました。今日はトップ4本、次いで3本でした。トップは横浜市の小峰さんでした。♪♪^0^(貴則)

ホーム目次前のページ次のページ