ライトタックルアジで厄落とし

7月14日(水)、横浜本牧の濱生丸からライトタックルアジに行ってきた。
ライトタックルアジは130号前後のビシを使用するいわゆるビシアジに対して、30号前後の軽量のビシと小物用の道具を使って、浅場の中アジの釣り味を楽しむために考案された、比較的新しい釣り物である。金沢八景荒川屋で3年程前に始めて以来、私もLTアジファンの一人となった。手軽な道具立てで釣趣と食味の両方を満足させてくれるLTアジは、今や湾内各地の船宿に取り入れられ、その人気が広がっているようである。場所は中の瀬、小柴、富岡沖を主として、湾内各地の水深15〜20m付近、そして6月〜10月の高水温期が釣り期となる。

今年は開始早々数は好調ながら、昨年と比較するとやや小振りが主体のようだ。しかし、色が薄くて尻尾まで黄色い湾内のアジは多少小さくても味は極上、この釣りが始まるとビシアジはそっちのけで、アジ釣り=LTアジとなってしまう私である。予てより釣り仲間の皆様にこの釣りの楽しさをお話してきたら、先日はOKAZUさんと今期初のLTアジ釣行が実現。そして今回は963さんも加わり、3人で参戦と相成った。963さんはヤギタオリジナルのLT竿も新調され、気合満々準備万端での釣行である。前回は午前だけやって、シコイワシの猛攻により釣果の方は伸びず仕舞いに終わったが、今日は是非ともこの釣りの楽しさを味わって頂き、夜には食味の方も十分に味わって頂きたいと思う。

フィッシングショップ・シーウルフで受付を済ますと船着場へと向かう。LTアジ船は我々3名以外にお客さんはもう1名、全員右舷に並んで竿を出すことになった。ジャンケンで私がミヨシ1番、そして963さん、OKAZUさんの順に並び、胴の間には船長の道具も準備されている。一方、マゴチ船はこのところ急上昇の気配で平日とは思えぬ盛況ぶりだ。濱生丸は今年の4月にオープンした新しい船宿。船長二人で切り盛りしているから大変で、定休日も何やら雑用をこなさなければならない状況らしい。船長は二人とも釣り好きで、釣り人の気持ちを理解し、釣り人の目線で物事を捉える。そんなフレンドリーで温かい雰囲気がファンを呼ぶ原動力になっていることは間違いないだろう。


左:マゴチ船は爆釣モードで平日でもこの人数。右:午前アジ船は右舷に4名。

定刻を少し回った7時前に出船となり、30分程走るとアナウンス。目的地は中の瀬である。昨日の南西強風もすっかり収まり、風向きが変ったせいか非常に爽やかな朝である。7時30分、スローダウンして反応を探す船長、そして5分後アンカーが打たれ開始のアナウンスだ。ブイがよく確認できないが、位置的には横浜と木更津を結んだ直線上で、CブイとDブイの間辺りではないだろうか。南東の微風、薄曇り。海上はベタ凪で潮色は濁り。今日は若潮後の中潮初日で干潮が9時頃の予定。水深は18m、今のところ流れはほとんど無い。

開始早々、OKAZUさんと963さんが型を見るが、私は早くもシコイワシの攻撃に遭う。開始10分後、私にもようやくひったくるような強いアタリが出て本命を取り込むが、今日もまたシコイワシ、シコイワシ、シコイワシ〜だ。アジの喰いが一向に上がらないので、8時20分、移動となる。この時点で私4尾、963さん9尾、OKAZUさん5尾と誰もツ抜けに至らない状況である。2箇所目は少し北上して、またアンカーを入れるが、ここもシコイワシの猛攻でアジは不発。食べて美味しいシコイワシもここまで酷いとウンザリである。当たったらすぐに全力で巻き上げないと、仕掛けはグチャグチャに絡まり回復不能になるのだ。

3箇所目はほぼ1箇所目と同じ辺り。やはりシコイワシが煩いが、上げ潮が少し動き出した気がした10時20分頃、ポツンポツンとアジが顔を見せ始め、10時30分を回ると徐々にアジのアタリが頻繁になる。船長とOKAZUさんはかなり低目のタナを攻め、良型交じりで釣果を上げ始めた。私は相変らず2m前後のタナを攻めているが、明らかにアタリの頻度が少なく、先にシコイワシにつかまるケースが多い。高め高めで喰わせたいから、上で当たってくれれば下はやりたくないのだが、背に腹は変えられないので、仕方なく地底でコマセを振って少し誘い上げるようなベタ底狙いを始めると、どうにかアタリが出始めた。

潮が効いてないにも関わらずタナが低い。それだけシコイワシが凄いってことかもしれない。納得行かないけど釣れる釣り方をしなければ始まらない。気が付くと3人とも同じようなペースでポツポツと最後の30分はようやくアジ釣りの形になってきた。そして11時過ぎ、タイミングよく喰いが止まり、午前船は終了となった。結果、私が20尾、963さんが22尾、OKAZUさんが21尾と僅差ながら963さんが午前船の竿頭となった。963さんはLTアジは初挑戦なのだが、ビシアジ通で最近は深場の大アジで凄い釣果を叩き出すコマセ師なのだ。出船前に「理屈はビシアジと同じですよ」というお話をしただけで、開始直後には要領を把握し、自分のものにしてしまうところは流石の一言である。


左:午前船、シコイワシの猛攻でウンザリムード。右:午後船、入れ食いの後、そろそろ納竿。

40〜50尾釣れたら午前で帰ろうと思っていたが、どうにも不完全燃焼である。前回も午後に爆釣したという話があるので、私と963さんは引き続き午後船に乗ることを即決、そしてOKAZUさんにも何とかお付き合い頂けることになり、そのまま3人で午後も通すことになった。午後船は一旦帰港して昼飯を済ましてから再出船となる。初めから通して乗船すると決まっていれば、弁当の注文もできるらしいが、我々は近くの食堂で昼食を取ることにした。ちなみに午後の乗船代は店まで行かなくても、船長に直接にお渡しすればOKである。お客さんは1名入れ替わって、午前と同じ4名となった。

午後の出船は事故渋滞に巻き込まれたお客さんをしばらく待っていたが、船長の判断で見切り出船することに。予定より15分ほど遅れて12時35分に出船となった。目指すは午前と同じく中の瀬。横浜港を出ると午前より南風がそよそよと、だいぶ凌ぎ易くなってきた。さて13時10分、アンカーを打って午後の部のスタートだ。とにかくシコイワシが居なくなることを願うが、どうやらまだウジャウジャ居るようで、出鼻をくじかれてしまう。午前だけで仕掛けを5組を消費したが、午後は開始早々3組をダメにしてしまった。何とかならないかな〜このイワシ君。私がシコイワシに苦戦している間もOKAZUさんは割合好調の模様だが、やはり随分と低いタナを狙ってアタリが出ているらしい。色々な情報が右の耳から聞こえてくるが、あまり惑わされないようにしよう。

14時30分頃から少し潮が効いてきて、道糸が抱え込みに入るようになると、シコイワシの勢いが衰え、低目のタナではあるが、アジがポツポツ当たるようになってきた。これは入れ食いタイムの前兆か、徐々にペースが上がってきた。お隣の963さん、OKAZUさんも好調だ。1〜1.5mの低めのタナでアタリが続く。凄いときにはビシが底に着いて、タナを切る前にもう喰っていたり、タナを切ろうとリールを巻く途中でガクガクガク!と強いアタリが出る。そしてその勢いはさらに加速す一方であった。

15時、入れ喰いである。シコイワシがほとんど居なくなり、タナがだいぶ上ずってきたから嬉しい。平均2m、高めでは2.5mでガツガツとアタリが出る。狙って一荷もできるようになってきた。型は相変らず小振りだが、クッションゴムを着けていないので、豪快なアタリと下に突っ込む強い引きがダイレクトに味わえる。これぞLTアジだ!一荷を狙っていると、たまにはトリプルも。タナを切る前、もしくはタナを切って5秒以内には大抵アタリが出る。だんだん雑になってバラシも増えるが、とにかく回数を入れ替えれば必ずアタリが出る。喰わないときに1尾釣るのにどれだけ苦労するかは散々経験済みだが、一歩嵌ればこんなに簡単に釣れてしまう。これがアジ釣りの嬉しさでもあり恐さでもある。

3人は入れ喰いに陶酔し、エンジンを切った静寂の中、無心で釣り続ける。体は釣りをしていて一連の動作を怠り無くこなしているのだが、頭の中は別のことを考えているような不思議な感覚に陥る。何匹釣ったかなんて全然気にならない無我の境地で、気が付くとクーラーはほぼ満タンである。16時を回ると幾分勢いは落ちてきたが、まだまだ狙えば釣れる状況。にも関わらず私はすっかり満足しきってしまい、船長と話をしながら釣りの方は上の空である。16時20分、またシコイワシが出てきたので、釣りを止めて一足お先に片付けに入る。そしてその数分後、納竿のアナウンスとなった。

午後は1時間強の入れ喰いタイムのお陰で私は64尾、963さんが61尾、OKAZUさんが50尾と全員大漁で大満足。最後まで数上げることに徹していれば、みなさんもっと伸びたかもしれないが、これだけ釣れればもう十分というのが本音でしょう。18cm前後の小型が主体だが、大きさに似合わない強いアタリと突っ込みで、本当に楽しませてくれた。秋になれば二回りも成長して、もっと強烈な釣り味を楽しませてくれることだろう。小さくてもアジはアジ、ムラっ気があり当り外れが大きい。しかし、どこかで喰いが立つ時間帯があれば、簡単にこれだけの釣果を得ることができるのもアジ釣りである。

今年になってコマセ釣りは何をやっても撃沈続きであったが、何だか今日はスッキリ満足な釣りができて、何となく厄落としができたような気分である。(笑)そして今日はLT初挑戦の963さんも楽しんで頂けたようで何よりです。この調子で嵌りましょう。(笑)OKAZUさんもこれならお土産十分ですよね。とにかく皆で気持ち良く納竿できてメデタシメデタシ。今日は本当にお疲れ様でした。是非またやりましょう。


本日の釣果、アジ 17〜22cm 午前20本+午後64本=84本。外道にシコイワシ入れ食い、小型のマサバ少々。

【船宿HPコメント】
7月14日(水) ライトタックル鯵乗合船釣果
午前 17cm〜25cm 3〜22尾
午後 17cm〜25cm 45〜64尾
竿頭 午前 963様 午後 小峰 俊之様
午前は、シコイワシの猛攻に遭ってしまい苦戦してしまいました。午後は、徐々に良い食いになりマズマズの釣果を残すことが出来ました。外道は、殆ど混じりませんでした。


写真左より小峰さん、963さん、OKAZUさん。皆さん仲良く午前・午後合わせて80尾以上釣ってました。
ありがとうございました。

ホーム目次前のページ次のページ