タチウオ初挑戦で嵌りそうな予感

9月26日(日)、久比里の巳之助丸からタチウオに行ってきた。
タチウオは約20年前に八景から乗船したことが2回くらいあるだけ。あの頃はもちろん餌釣りもあったのだが、80号のオモリの下にトレブルフックを着けただけの言わば現代のジギングのような釣り方が流行り始めた頃で、私が乗船したときも確かそんな釣り方だったような記憶がある。よって餌釣りは今回が初体験なのである。以前から面白い釣りだと聞いており、チャレンジしてみたいと思いつつ、盛夏の開幕直後は好調でも秋になると釣果が低迷してしまい、いつも乗る機会を逸していた。まずはやってみなければ始まらないし語れない。勇気を出して今日こそ単独で釣行してみることにした。

いつもの時間に到着すると、今日は20号船がタチウオ船のようだ。船に乗り込むと右舷はルアーロッドがズラリと立っていたので、左舷大艫の釣り人にご挨拶をし、左の艫2番に釣り座を構えた。どうやら暗黙的に左舷は餌釣り、右舷はルアー釣りというルールがあるようである。(実際はどうなんですか?)ポツポツとお客さんが現れ、左右6名づつの12名が集まりちょうど良い人数だ。ルアー釣りにはN田さん、I東さんらの名人が乗船で、出船前、カワハギの話題となった。第二海堡で食ってるのを流石ご存知のようで、そんな話やら、N田さんから直々に中層でのカワハギの掛け方についてアドバイスを頂くことができ、大変勉強になった。是非次の機会に試してみたいと思う。

今日はオモリ100号とあってビシアジ道具をそのまま持参。黄色いディーオと1000Hのコンビである。片テンビンにオモリ100号。仕掛けは元素7号1.5m。クレン親子サルカンから枝素6号50cm、ハリス6号1.5mで全長3mの2本針。針はOHソルトレックの「太刀魚サーベルフックGB」レギュラー1/0号。ハリス切れ防止にチモトに夜光のウキゴム4cmを装着したシンプルでオーソドックスなものである。仕掛けの消費具合が分からないので、とりあえず上記の仕掛けを3組用意したが、足りなければ現場で1本針仕掛けを結ぼうと思う。以前、H木さんから餌は生のサバタンの方が食いが良いと聞いていたので、前日にスーパーでマサバを3本購入して、自前のサバタンを作って持参した。周りを見るとやはり自家製サバタンや冷凍シコイワシなど、餌持参の方々が多く見受けられ、そのマニアック振りを垣間見ることができる。


左:出船前で皆さん準備中、右;私はいつものビシアジ道具。

7時25分、出船である。話によると20号船を担当していた貴則さんが船頭を辞めてしまったらしい。今年も楽しいアマダイ釣りを期待していたのだが個人的には非常に残念である。まあ色々事情があるのでしょう。ということで今日は以前から臨時で船長を務めていた友康船長の操舵となった。平作川でやまてん丸の前を通るとカワハギ船にH谷さんとA葉さんの姿が。先日のカワハギの釣果を聞かれジャスチャーで合図。そういえばやまてん丸は明日カワハギ・オープンの予選会であった。ご健闘を祈るばかりである。久里浜港を出ると航程15分程で下浦沖のタチウオ船団に合流。船団の合間を縫って反応探す。7時50分、ピタッと船を停止させ開始の合図である。船長からタナの指示があると思っていたのだが、アナウンスは何も無い。ということはタナは自分だけが分かれば良いので、道糸の目印ではなく電動のカウンターで見ることにする。

1投目、水深は電動のカウンターで72m。とりあえず底まで落とし、まずは5m巻き上げた所から誘い始め、竿先を海面から水平の位置までスーッとしゃくり、静止してアタリを見る。これで上へ上へとタナを探ってみる。北東の風やや強くまずまずの凪。天気は曇りでいつ降り出してもおかしくないほど暗い空である。潮色は茶色掛かった強い濁りだが、この潮が果たしてタチウオにはどうなのか私には知る由もない。電動のカウンターが63mのところでゴツっとしたアタリが出て穂先に重みが加わる。待っても引き込まないので、そのまま誘い上げていくと、銜えたままどんどん着いてくる。途中餌を放すが、誘い上げるとまた食いついてくる。合わせ方が分からないので、そのまま誘い上げてきたら50mくらいのところで居なくなってしまった。初っ端からアタリが出たのは良いのだが、どうやって掛けるのか難しい。う〜ん、確かにこれは面白いかもしれない。2投目は65mまで落として同じように誘うと、58m付近でアタリが出るが、やっぱり掛からず。

3投目でようやく針まで食い込んだ感触を得て、グッと竿の胴に乗せると待望のヒットである。電動で少し速めに巻き上げると、断続的な引き込みを見せるが、それほど大きくはなさそうだ。まず第1号は70cm強の小型だが、めでたく本命ゲットである。針を外したらそのまま締めて暴れないようにし、血が抜けてからクーラーに仕舞う。その後も気が付くと60〜50mくらいのタナで入れアタリなのだが、なかなか掛けられない。アタリが出てからの様子が中層のカワハギ釣りに似て、合わせどころが見つからないまま餌を取られてしまうのである。右隣のベテラン氏が良いペースで上げている。参考に釣り方を拝見すると、食いダナを見つけたら割と狭い範囲を集中して攻める感じで、竿先を40cmくらいユラユラ上下させ、その後スーッと目の位置まで持ち上げる。それで掛かる時もあるし、そこからストンとオモリを落として、もう一回シャクると乗っている。しかし見ているだけではどの時点でアタリが出ているのかが分からず「?」だ。まさにテクニックである。

アタリが出たら少し誘い上げ、銜えて付いてきたらリールのクラッチを切ってストンとオモリを落としてみたり、ユラユラさせてみたり、真似をしてもなかなか上手く行かない。それでも少しはヒット率が上がって、9時の時点で7本。アタリはたぶん2倍以上あっただろう。でも今日は初戦なので目標はとりあえずツ抜け。しかし釣果よりもどういう釣りなのか、少しでも多くのことを知る方が重要なのだ。今日は中潮で干潮が9時30分頃の予報。下げ止まりに入ったか9時を回ると急に食いが渋くなり、当ってもすぐ放すし、徐々にアタリ自体も出なくなってしまった。船長は細かい移動を繰り返すがどこも不発。色々タナを探ってみるが、そのうち45m付近でサバが食いだし、船中賑やかになる。今日は電車なので、私はゴマサバ2本、マサバ1本釣ったところで自粛し、わざとタナを外す。ちょうどサバタン用にサバを3本購入したので元を取った計算だ。中には45cmを超えるような大サバも釣れて、大艫の釣り人はサバでクーラー満タン。どうやらタコベイトなど派手な仕掛けでタナ付近を大きくシャクると確立が高いようである。

11時を回って、2時間振りにそれらしきアタリを捉えるが空振り。時合到来かも知れないので集中して誘う。私が魚の気配を捉えた直後、さすが右隣のベテラン氏が本命をヒットさせた。やっぱり流石である。その後、何度かアタリが出たのだが、どうも朝とは食い方が違うようで、アタリが一段と弱く、一向に掛かる様子がないまま餌だけ取られてしまう。隣のベテラン氏の仕掛けをよく見ると、3.5mくらいの1本針で、餌のサバタンは5cm程度の短め。また肉を削ぎ落としてペラペラの状態にして使用しているようだ。なるほど、私もハサミで似たような状態に加工してみる。すると55m付近でアタリ、そのまま聞き上げるとガツンとヒット。この方が勝負が早いのかもしれない。どんな条件でも有効なのかどうかは分からないが、このテクニックはカサゴ釣りでも常套手段である。その後も掛からないアタリに苦戦しながらも、12時で10本と予想より早く目標達成となった。


左:下浦沖のタチウオ船団。右:タチウオにかじられて上げてみればこの通り。

仕掛けは歯で傷が付いたり、サバに飲み込まれたり、ルアーの方とオマツリしたりとけっこう消耗が激しい。2本針仕掛け3組は早々に無くなり、予備でハリスを結んだ針を持参したので、サルカンに結び直して使用していたが、餌付けがちょっと悪いとサバタンが回転して枝素がよく絡む。トラブルが多いので、途中から1本針仕掛けにチェンジしたが、最初に試したハリス長2mはまったくアタリが出ず、約3.5m(腕幅で2ヒロ)に変更した途端アタリが戻った。ハリスの長さは潮流と誘い方との相関関係もありそうだし、けっこう重要かもしれない。ただ、今日は初挑戦なので、どういう時にどうするという理論的なことは、他の釣りとの共通的なこと以外は全然分からず、とにかくやってみながらの試行錯誤であった。回数やらないとこういった経験値が上がらないのはどんな釣りも同じである。

12時を回り、北東風がさらに強まり雨交じりで吹き付ける。波も出てきたし、なんだか朝より冷え込んだ感じがする。午後に入り2本追加して12本。13時頃、相変わらず掛からないアタリに四苦八苦しながらも、アタリはポツリポツリ出ていたのだが、移動になるとその後はアタリすら無くなってしまう。そんな中でもお隣のベテラン氏はたまにではあるが、ちゃんと本命を掛けるから流石である。このベテラン氏は最終的に28本を釣り上げ、本日の竿頭になられるのだが、今日はお隣に上手な方が来てくれたおかげで、間近で色々な釣技を拝見することができて得るものが多かったので感謝である。

さて14時、今日一番の深場に移動。底まで落とすと水深100m前後である。できればタナの指示が欲しいところだが、何もアナウンスが無いので、移動の度に底まで落とさなければならない。まずは90mくらいから誘い始めると82mで久しぶりのアタリ。しかし掛けられず。周りでポツリポツリと上がり始めたので、タナを教えて頂くと80m強とのこと。やはり深めであった。次に93mくらいから誘い始めると、90m付近で明確なアタリ。今度は誘い上げずにその場で竿先を上下に揺さぶってやると、そのままゴンゴンと持ち込み針掛かり成功。深場から速めに巻き上げ無事90cm級の良型を取り込んだ。最後にひとつコツを掴みかけたところ、直後の14時30分、納竿のアナウンスとなった。

今日は事実上の初挑戦だったが、やはり実際に行ってみて良かった。イメージと同じ部分も多々あったが、やはり自動では食い込まないあのアタリの出方、そしてそれを如何に掛けていくか、非常にテクニカルで奥が深そうである。今日の状況だけで考えると、アタリを出すだけならさほど難しくないのだが、問題は「アタリが出てから掛けるまでのプロセス」と、「食い込むアタリを如何に出させるか」の部分が大きいかもしれないと感じた。今日が平均的に見てどういう日だったのかはよく分からないが、トップ28本ならまずまずの状況だったのかもしれない。私の釣果は13本で自己目標はクリア。サバもゲットでお土産には十分過ぎる程だ。久々に電動で100号オモリをシャクり続けて疲れたが、初戦ながらタチウオ釣りのキモの部分を実感できたと思うし、皆さんが嵌る理由が多少なりとも分かったような気がする。後から試してみたいことがいくつか思い付いたし、是非また挑戦してみたいと思う。


本日の釣果、タチウオ 約68〜92cm(正確ではありません) 13本、マサバ 40cm 1本、ゴマサバ 35cm 2本。

【船宿HPコメント】
太刀魚・・観音沖、潮:澄み、水温:25度
下浦沖の太刀魚は午前中に掛けては入れ食いで、70〜110cmを文京区のK内氏がトップ28匹で、2番手が26匹と大中型中心に食いが良かったです。餌釣り、ルアー釣り、どちらでも歓迎です。(友康)

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