カワハギ風雨と速潮でも何とか

10月3日(日)、横浜新山下の渡辺釣船店からカワハギに行ってきた。
連日、出船すれば竿頭で30〜50枚超と第二海堡のカワハギは未だ衰えを知らず絶好調である。今日は曇りのち雨の予報だったが、家を出るなり降り出した雨は一日止むことはなかった。荷物があるので傘を差さず、船宿に着く頃にはけっこう濡れてしまった。すぐさまカッパを着込むがそのうち雨は本降りとなり、出船前には既にびしょ濡れ状態だ。こんな天気だから多少は空いてるかと思ったら大間違い、最終的には片舷10数名と20名を超える乗客でビックリである。この天気とこの人数、何だか早くもモチベーションが下がりつつある私であった。それはそうと昨日は手頃なアサリが見つからず、どこを見てもハマグリ級ばかり。横浜界隈を奔走した挙句、都筑区の相鉄ローゼンで小振りを見つけたが、逆に今度は小さ過ぎで値段も高かった。もう当てが無いので、仕方なく購入して剥いて来たが、本当はこの時点で止めておけば良かったのかもしれない。(と後で思った。)

右舷ミヨシには雑誌の取材やらで関係者が陣取っている模様。左舷ミヨシも到着時には4本くらい竿が立っていた。できればミヨシに入る目論見だったが、諦めて左舷艫2番に釣り座を構えた。他は2、3名の初心者グループ1組、あとは皆さん常連客である。当船宿では横浜沖堤に渡船をしているので、黒鯛師の常連客も多い。毎年黒鯛シーズンが終期を迎えると、カワハギ船がどっと賑やかになるのが当船宿の傾向でもある。そのうち11月頃の最盛期にもなると、始発電車で到着しても釣り座を選ぶどころか座る場所を探すのも苦労するほど大混雑になるのは時間の問題。一年中、苦節カワハギ釣りをやり続けている身としては、アタリが多い時期こそゆったりと思う存分カワハギ釣りを楽しみたいというのが本音だが、乗合船のしがない一乗客ゆえ、世の中そんなに甘くないのである。


左:竿は立ってるけど、本降りでお客はどこかに避難。右:今日も第二海堡の周りを攻める。

両隣の釣り人に「よろしくお願いします」とご挨拶をして、7時25分に出船。この時間、雨は降れどもまだ風はさほどでもなく、海上は凪だった。航程順調に8時5分、いつもの第二海堡北東側からスタートである。北の風ほどほどに天気は雨。潮は薄濁り。現在下げっ端で最初は水深12〜15mの駆け上がりを北から南に流し、最後島の近くでまた登ると根が荒くなる。2投目からアタリが出て難なく15cm級、その後アタリが連続して一瞬で4枚を取り込んだ。程なく下げ潮が効き始めると、予想通りあっという間に激流と化した。相変らず第二海堡は潮が速い。今日は中潮で干潮が13時頃なので、この潮だと午前中一杯は我慢の釣りかもしれない。船長は速潮を避けて島の東面から南面を流す。東面はポツポツと2枚追加して6枚。ところが南面に移動するとアタリがまったくと言っていいほど出なくなった。ここは上げ潮の方が食うポイントなのかもしれない。

水深は15〜20m程度であるが、たぶん魚がほとんど居ない。ミヨシ寄りではポツポツ上げているが、我が艫寄りは絶不調。時計を見ると1時間以上カワハギのアタリが無いし餌も取られない。北風で島の南岸を横流しする際、ミヨシ突っ込みの操船になるのは分かっていた。海底はかなりの傾斜で、釣り座によって水深が大幅に変わる場所も多い。このところの傾向では水深10m前後の浅場や島の際に固まっており、浅場を効率よく攻めるにはミヨシの釣り座が圧倒的に好条件になる。これはここ数回の釣行で分かっていたことである。9時を過ぎ、少ないアタリを物にして7枚目を取り込んだ。この状況下で我ながら上出来である。と言うのも、このとき大艫の常連さんは未だ型見ず。右隣の自作和竿のお客さんは1枚と艫寄りの釣況が不調であることが伺えるであろう。

雨は止むどころか景気よく降り続く。こんな日に草履で来てしまい大失敗だ。今年も早いものでもう10月、そろそろ長靴が必要な季節かもしれない。だんだん体が冷えてきたので、キャビンに入り予備のシャツを着込む。10時30分を回って約1時間半振りのアタリである。上手いこと掛かって20cmオーバーを取り込んだ。しかしこの後、また沈黙状態と化し、地底もタナもどこを探っても反応は無い。島の南東の磯際から南岸沿いを西に向ける流しで、潮回り直後の1投目だけフライング気味に艫から投げ込むと、浅場に仕掛けを投入できるチャンスがある。ここに上手く入ると水深10m以内の浅場で、ベラ交じりでカワハギのアタリが出る。このタイミングで本命を掛け損なったりベラにやられてしまうと、次の流しまでアタリが無い。11時40分までに遠投で2枚追加してようやくツ抜け。ここではカワハギ2枚、ベラ2尾、掛け損ないが数回、すべて浅場でのアタリだ。

12時を過ぎると船長は本命場所の北東側に船を移動させる。船長は最初から潮が緩んだら北東側と決め込んでいたようである。それ程こちらの方が魚影が濃いのだ。周りには吉野屋、吉久、富士丸など他のカワハギ船も一斉に集まり、船同士が至近距離での操業となった。依然潮は速く、仕掛けがあっちこっちに振られる。二枚潮っぽいガチャガチャした潮で非常に釣り難いが、開始早々周りの釣り人がカワハギを上げ始めた。私も一発餌を取られた後、ようやく針掛かりに持ち込んで1枚追加。その後も地底で叩いた後、船の動きでテンションが掛かり過ぎたり仕掛けが不意に浮き上がらないように糸を送り気味に間を作ると、ほぼ入れ当たりとなった。ところが風雨が一段と強さを増し、北東面はもろに風面になるため波も高くなってきた。波と船の動きで微妙な食い込ませに苦労して、掛け損ないを頻発。アワセが早くなってしまい、掛けた直後のバラシも増えてしまう。しかし魚は相当居そうだ。

アタリの割りに数は伸びずで、17枚くらいになったところで食いは小休止。13時、ようやく潮が止まり加減となり、これまでの頻繁な潮回りから一転して、一流しが長時間になった。ふと気が付くとアタリが分からず丸裸が数回。もしや?と思い、いつものパターンで空中戦にチェンジ。やっぱりそうだったか、浮いているではないか!タナ1mでも餌を取られるので、1.5mくらいまで上げてみると初めて竿先に変化が出る。誘い上げると2mくらいまでは付いてくる。今日は随分上ずっているようだ。入れる度にタナでアタリが出るが、その出方がまた微妙で、今日のカワハギはいつもに増して餌取り名人である。波で船の上下動があるので、微妙な駆け引きが竿先でコントロールできないのもあるが、針掛かりまで持ち込めずにやられてしまうパターンが多く、気分は焦りモード。上手く掛けられるのはアタリの半分以下の確立である。

周りを見ていると、地底でもアタリがポツポツ出ているようだが、タナで食うなら私はタナでやりたい。これまでの経験で上ずっているのは比較的感良く発見できているので、後はタナでのアタリを高確率で針掛かりに持ち込むのが、現在の最大の課題であり、この辺の技術を向上させることが、一皮剥けるための最大の鍵だと考えているからだ。ただ、今日は海況が良くないし、風雨で冷えきった体で、針の種類を試してみたり、先日巳之助丸でN田名人に教えて頂いた方法も試すまでの余裕がまったく無い。従来のスタイルでそのまま我慢して、多少アタリの間が空いても執拗にタナを攻め続ける。14時過ぎ、数を数え直してみると何とか20枚を超え、26枚になっていた。14時25分、目標を30枚と考え、針を交換。ラストスパートの態勢に。すると、当たっている北東面からアタリが少ない南東面に移動となってしまった。何故だろう?と思った瞬間、早上がりのアナウンスとなった。なるほどそういうことだったのか。これも船長の配慮なのであろう。今日はこれにて撤収となった。

今日の竿頭は右舷ミヨシ寄りにいらした名人(パン屋さん)で51枚。さすがダントツの釣果である。この方は一郎丸、成銀丸、丸十丸を定宿とする名人で、夏場はマルイカでも船宿HPを賑わしている。昔から黒鯛の名人でもあり、地元横浜では知らない人は居ないほどの名人であることを付記したい。そして裾は1枚。私の両隣の方々と左舷胴の間3名はたぶん一桁。先日今期最高記録の常連さんも右舷艫寄りで撃沈とのことだった。今日は予想以上のバッドコンディションで30分早上がりになってしまったが、寒さに耐えながらも置かれた状況下では自分なりに健闘できた方ではないかと省みる。しかし本文には書かなかったが、タナで大型らしきを2回バラシてしまい悔いが残るのと、釣果の方は腕の差を差し引いても釣り座の優劣が如実に表れたと思われ、いささかストレスの溜まる釣りであったことは否めない。(前回、艫に入られた方は同じことを思ったかも知れない。)さあカワハギが釣り難い季節になってきた。次回はどうしようか週末釣り師としての悩みどころである。


本日の釣果 カワハギ 13〜21cm 26枚。15cm以下のコッパも3枚ほど持ち帰ってしまいゴメンナサイ。外道に26cmのシロギスが釣れました。

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