タチウオようやく復活、下浦沖で好漁

11月3日(木)、久比里の巳之助丸からタチウオに行ってきた。
毎年、7月中旬から大貫沖の浅場でルアー釣りがスタートし、その後、秋の深まりとともに下浦沖の深場に固まれば餌釣りの好シーズン到来。初冬にもなれば観音沖で大型が釣れ出し、春先には湾奥の本牧沖周辺まで北上して幕を閉じる。東京湾のタチウオはそんなイメージがあるのだが、今年は序盤戦からムラがあって、その後、すっかり群れが消えてしまったらしい。例年通りタチウオ乗合を始めた船宿も不漁のため相次ぎ休船となったが、10月中旬からようやく模様が出始め、待ってましたと言わんばかりに下浦沖には恒例のタチウオ大船団が形成され、盛り上がりを見せている。私も出漁機会を失っていた一人、このチャンスに一度やっておこうと、今日は久し振りに久比里の巳之助丸にお邪魔することにした。京急の一番の特急に乗ること6時20分に船宿に到着。今日は23号船がタチウオに出船する以外、すべてがカワハギ船。カワハギは乗合3杯出しに加えて仕立が数隻、流石シーズン真っ只中のカワハギは物凄い人気である。我がタチウオ船は四隅に先客がいらしたので、私はご挨拶をして左の艫二番に荷物を下ろすことにした。

船上を見回すと顔馴染みの常連さんが過半数。右舷にはN田さん、H木さん、T代さん、左舷にはS水さん他、ずらり名人のお揃いだ。お隣、左舷大艫のお客さんは初対面だったが、大変気さくな方で、出船までの待ち時間も楽しい会話で和やかに過ごすことができた。今日の道具は先日鬼カサゴ用に購入したD社のファイアバロン120−210を使用してみたい。少し硬めかとも思ったが、穂先が敏感だし、負荷を掛けると胴に入る調子がオモリ100号のタチウオ釣りにはたぶんマッチするはずだ。仕掛けは片テンビンからハリス6号3mの1本針で、今日は二段針を用意してきた。ワームフック#2/0を親針とし、孫針に環付きチヌの5号をワイヤーで接続してみた。安浦のこうゆう丸考案の「こうゆう針」というのが有名だが、要はこれのパクリである。この段差針を10組程と予備の単針を持ってきたので、拠れたり傷が付いたらその都度結び替えようと思う。さて、今日は大混雑を覚悟しての釣行だったが、47人乗りの大型船に左右6名づつの12名。思いの外釣り座に余裕があり、久し振りのタチウオ釣りを最高のコンディションで楽しめそうだ。


自製の二段針、「こうゆう針」のパクリ。今日はファイアバロン120−210と1000Hのコンビ。

定刻7時30分、功一船長の操舵で出船。久里浜港でスパンカを上げて航程15分、下浦沖には既にタチウオ船団が形成されており、その後から回り込むと迷わず船は停止。7時55分、投入の合図が出た。指示ダナは水深100〜80mである。北東の弱風、晴れ。海上は穏やかな凪で潮は澄み。久し振りに絶好の釣り日和に恵まれ、とても気持ちの良い海上である。今日は大潮で干潮が11時30分頃の予報。現在のところ下げ潮が速めで、船を反応の上に固定しているため、道糸が艫方向に急角度で入る。道糸のマーカーで95m出たところでクラッチを入れ、仕掛けが潮に馴染んで道糸が立つのを待ってから誘いを開始する。最初に大きくゆっくり一誘いするともうアタリ。グッと重たいモタレの後、竿先を海面まで巻き込んで聞き上げるとグングンと大きく竿が締め込まれ、ヒット〜!電動リールは速めに巻いて、途中の引き込みは竿でいなす。遊ばせないように一気に取り込むと、本命タチウオに一年振りのご対面。周りを見回すとそこいら中で竿が曲がっている。いきなりゴールデンタイムに突入だ。昨日の釣果情報によると上げ潮に入って渋くなったらしいので、下げ潮のうちが時合なのかもしれない。

餌はサバタンを支給されたが、まだ凍ったまま。前にマダイ船で釣れたマルソーダをタンザクにし、鬼カサゴに持参した時の残り餌から使っているが、まったく遜色の無い食いである。お隣さんも自製のサンマの切り身を使用しているが、この時間、餌は何でも関係ないみたいである。とにかく入れアタリ。釣りが雑になってチップやアワセ後のすっぽ抜けも生じるが、アタリ無く空で回収することは一回も無い状態が続く。何度か投入していると水深90m前後が一番よくアタリが出るので、投入は90m強でストップして食いダナ直撃である。大きくゆっくり誘って止めたり、小さいシャクリを段を付けて入れたり、その場で小突いたり、どんな誘いでもアタリは出る。食い込ませて重みが乗ったら強めにアワセを入れてガッチリ掛ける。この最初の重量感がたまらない。段差針は孫針も活躍して絶好調。小振り主体ながらも、たまに90cmオーバーの指4本サイズも顔を出し、開始1時間でツ抜け。2本針のお客さんはダブルも頻発しているので、もっと釣れているに違いない。活性が高い時はこんなに当たるものかと逆に冷静になってしまうが、この調子で釣ったら午前中にクーラー満タンになっちゃうので、ゆっくりやろっと!


下浦沖のタチウオ船団に合流。

初使用の二段針、ワイヤーがタチウオの歯で切れることは無いのだが、擦れてパーマしたり劣化は激しい。ささくれていなければそのまま使うが、仕掛けに不安があるときに限って大物が食ってしまい、後の祭りっていうケースがよくあるので、まめに交換したり、ハリスを結び直す。タチウオの歯がハリスに当たると簡単に切れてしまうので、針のチモトに細めのゴムチューブを3cmほど着けているが、何匹も釣っていると、このチューブが歯で裂けてしまうくらい、タチウオの歯は鋭い。気を付けてはいたのだが、口から針を外す際にうっかり歯を手に引っ掛けてしまい、しまった!バンドエイド持ってくるの忘れた〜。しばし流血。そんなこんなで10時で20本。お土産的にはもう十分なんだけど、まだ時間が早いから止めるわけにも行かない。そのうち食いが落ちることを逆に願ったりして、釣れなきゃ釣れないで不満なくせに、釣り人というのはホントに我がままな生き物である。10時を回ると流石にアタリがスレて来た感じで、モゾモゾとなかなか掛からなかったり、モタレで終わったり、針掛かりの率が徐々に低下してきた。タナも少し変動して85〜80mとこれまでより少し上で当たることが多い。状況は確かに変化の兆し。とは言え、10時30分で24本。


下げ潮は反応消えず、潮回り無しで食いっぱなし。

11時、潮が緩くなってきたのでそろそろ潮止まりか、道糸が素直に立つようになった。アタリは案の定の激減、11時半頃に1本だけ追加して、お昼で25本。ガツガツ釣る状況じゃないので、道具を上げてゆっくり昼飯を食べることにした。しかし何も当たらなくなるとこれまたつまらないものである。潮変わりの後はゴマサバが出てきてしまい、タチウオのタナで当たるのはもっぱらサバばかり。12時20分、今日初めての潮回り。長い流しだった。船を回して1投目で1本追加したが、その後はお触りだけ。食い込むような良いアタリは全然出なくなった。海というものは本当に分からない。午前中あれだけ当たっていたのに今度は何も当たらなくなる。後で船長に聞いたところ、実際は反応もバラケてしまい、群れが散ってしまったようである。これでまた明日の下げ潮で同じ場所に固まるらしいから不思議である。数日前は潮に関係なく反応が出っぱなしだったようだが、ここ2、3日は上げ潮が気に入らないらしく、このパターンとのことだ。群れがあっという間にできたり消えたり、神出鬼没と言われる所以であろう。

一度船を回してからは一流しのサイクルは短く、船長も反応を探すのに苦労しているようだ。船を止める場所が見つからず、30分近く反応を探していることもあった。午前中の大船団は広範囲にバラケて船数もだいぶ減ってきた。僚船もグルグル回りっ放しで、まるでマルイカ船団をみているかのよう。船長としては、反応が無いので早上がりしますとも言えないだろうから、こういう時は大変だと思う。結局、午後は1本だけに留まり、釣果は26本。ゴマサバを10本程釣ったが、5本だけキープし、クーラーは9分目。そのまま14時35分、納竿の時刻を迎えたのであった。今日は前半入れアタリで後半バッタリ。アタリが多い中、食い込ませるのにジリジリイライラするような時間帯はあまり無く、案外白黒明暗がはっきりした釣りだった。そういう意味では少し物足りなさはあったけど、お土産的には十分過ぎる量で、これ以上釣ったら本当に電車じゃ帰れなくなるところだった。家に着く頃には肩が抜けそうだったもん。今日はこんなに釣れると思わなかったので、嬉しい誤算。毎週釣りをしていれば、たまにはこういう日もありますよね。


本日の釣果、タチウオ 26本(大体75〜95cm)。その他、ゴマサバは35cm前後を5本だけ持ち帰りました。

【船宿HPコメント】
太刀魚・・下浦沖、潮;澄み、水温;23度
今日も下浦沖の100m前後を中心に流しました。午前中はとっても良い食いでポツポツと良く上がりました。本日の竿頭は、またまた文京区のN田名人が40本、2番手は西区のT代さんが38本、他に30本代が4人もいて、今日は大漁でした。明日も出船しますよ−!!(功一)

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