極寒激渋アマダイ、辛くも一瞬の時合逃さず

12月22日(土)、腰越港の多希志丸からアマダイに行ってきた。
このところご無沙汰のS大さんだったが、激務からようやく開放されたようで、久し振りに何かご一緒しましょう!という話になった。この3連休、もともと日曜日の予報が悪かったので、釣行は土曜日に決定したのだが、直前になって、天気の崩れが早まりそうな予報に変わってきた。凪なら久し振りにヤリ・スルメでも行こうと考えていたが、沖の瀬〜洲崎沖は北風が強めに吹き込み、海もけっこう悪くなるのが読めたので、前日に腰越発のアマダイ釣りに変更。S大さんが(時間を間違えて、笑)予定より40分ほど早いお迎えで、5時20分には港に到着。早速、釣り座を確保しに船に向かうと先客が1名いらっしゃり、右舷トモにクーラーボックスが。何処に入ろうか迷ったが、人数が分からなかったし、2人で左右ミヨシに分かれることにした。お隣のカワハギ船は次から次へと乗客が乗り込み、最終的には20名を超える盛況振り。我がアマダイ船は予想より少ない6名と余裕の釣り座。準備も整い、両船とも定刻7時に出船となった。江ノ島を背にして沖へと約15分、スローダウンして船を旋回、位置取りが決まると、ハイいいよ!やってみて!北の風やや強く曇り、海上は多少の風波だけでコンディションは概ね良好、水色は澄んでいるが、お天気のせいでどんより暗い海面。最初の流しは水深75mから徐々に深くなる流し。我が右舷側が抱え込みとなり、たぶん上っかわだけ西から東に動いて、右舷突っ込みのトモ流しの形だが、底潮が動いていない。1投め、普通ならすかさず何らかの生体反応が出るところだが、ウンともスンとも来ない。しばらく誘ってもコレと言ったアタリも出ず、なんだか様子が変だ。やおら仕掛けを回収してみると、枝針も先針もオキアミの頭だけしゃぶられている。もしかして今日は激渋モード?苦戦を予感させられる滑り出しである。


今日は冬至、昼間の時間が一年で一番短いそうです。/お隣カワハギ船は20名超の乗客。

開始20分、私は辛うじてアカボラ1尾を確保したところ、後ろのS大さんから声が掛かった。振り向くと本命アマダイを取り込んだところだったが、サイズが26cm級と小さめ。次はその2倍のサイズを釣りましょう!それより今朝、目覚ましより早い時間にS大さんから携帯が鳴り、慌てて取ろうとした瞬間、首の筋を負傷。軽く寝違えたような状態で、頭を動かすと角度によって痛みや違和感を伴う。今、S大さんから声が掛かった瞬間、それをすっかり忘れていて、思いっきり後ろに振り向いてしまい、左の首筋に激痛!お願いだから急に呼ばないでくれ!(笑)しかし今日は寒いぞ〜。手がすっかりかじかんでしまい何時までも溶けない。電動リールのケーブルをよく踏むので、一旦外して違う向きから差し替えようとしたら、握力がすっかり無くなっており、鰐口クリップが自力で外せない。ポケットに手を突っ込んで、指の柔軟運動をしてから再挑戦。こんなことでこんなに苦労するとは・・・。手返しの多い小物釣りではどんなに寒くても手袋をしないのだが、こういう釣りでは必要です。隣のお客さんが羨ましい。開始1時間経って最初の潮回り。釣果はアカボラ2尾のみ。相変わらずオキアミの頭だけしゃぶられるので、海底は相当活性が低い状態。二流しめは潮が行かず、船がぜんぜん動かない。ダメだこりゃ!じっとしてても寒いだけなので、一生懸命誘い続けるが、外道すら当たらない。9時、アカボラ4尾、カナガシラ1尾がバケツに浮いている。クーラーが不要なほどバケツの水も冷えきっている。潮周りは大潮前の中潮最終日、9時半頃が干潮、その後、納竿時刻まで上げ潮の予報。大潮前後と言っても冬型のタイドグラフなので、日中の干満差は殆ど無い。そろそろ潮止まりなので、この後の潮変わりに期待するしかない。時々両腕をグルグル回したり屈伸をしたりで、固まった体を解す。寒いのは承知していたが、ここまで酷いとは予想外だった。


気温上がらず極寒の船上/S大さんも後姿がなんとなく寂しげ。

10時を過ぎるとそろそろ上げっ端か、幾分外道のアタリが良くなってきた感じ。少し食いが上がってくれないと、このままじゃ帰れないもんね。10時20分、隣のお客さんが35cm級のアマダイを取り込んだ。ヨッシャ、潮変わりでここは時合に間違いない。10時30分、船が右に流れたせいで道糸が大きく船下に入り込んだ。これはチャンス!一旦オモリを底に着けてから30cmくらいタナを切り、海底スレスレに仕掛けをスライドさせるイメージ。するとズドドン!と穂先を叩かれ、心臓ドキッ!一瞬、目を疑ったが確かにアタリである。向こうから絞り込んで行く感じもないので、こちらから聞きアワセ気味に乗せると、一転して激しい抵抗に竿が叩かれる。おいおい、あんまり暴れるなよ。ちょっとサイズ良さそうだな。抵抗が収まるまで最初は手で慎重に巻き上げ、おとなしくなったところで電動中速にチェンジ。やはり活性が低いと見えて、最初暴れただけで、途中、独特の三段引きを見せることもなく、素直に海面に浮上。S大さんに救って頂いたのは40cmジャストのアマダイだった。このパターンで今まで何本も上げているので、完全に狙った道具の操作だったが、この激渋の中、まさか本当に食ってくるとは思わなかった。実釣時間の中で唯一の時合かもしれず、何時終わるかも分からない。速攻で道具を入れ直し、連続ヒットを狙ったが、穂先を叩かれたあの残像が脳裏を駆け巡るのみ。潮向きは朝の下げ潮と同じ方向で、右舷が抱え込み。その後、模様が上がらず東側に走るが、こちらは潮方向が逆と思われ、どういう潮流なのか単純ではなさそう。本命の型は見られず、また西に戻る。12時、雨がパラパラ。夕方から雨の予報だったが、ちょっと早過ぎるぞ。この寒さで雨が本降りになったら、まず間違いなくやっていられる状況ではない。カッパの襟を一段深く締め、フードのゴムもキツめに締めて雨に備える。


ワンチャンス逃さず40cm1本/イッテンアカタチ、これが釣れるようじゃ今日はダメだ!というのが釣り人の定説。

幸い雨は収まり、空は薄日が差して気温も若干上がり気味。ようやく手のかじかみも溶けて少し楽になってきた。海底は相変わらずの低活性、小さい外道がたまに当たるものの簡単に掛からない。この釣りも見ていると各人各様の釣り方があるようだが、私個人的には竿先を海面に付けて底を取り、水平に持ち上げた状態を基準にした上下の誘いや、道糸を1m強巻き上げてから上下の誘いや叩き釣りをミックスし、バリエーションを付けて釣っている。叩き釣りは払い出しの潮向きの方がやり易い。他、午前中に1本釣れた時のように船の動きを利用して誘い方に変化を付けるのも時には有効である。残念ながらこの時間、底潮が完全に止まってしまったようで、針のチモトに毎回ドロが着いてくる。この状況じゃ誘い方がどうこう以前に望み薄。特にチモトにドロが着いていると魚自体が食ってこない。必然的に入れ替えのインターバルは短め。毎回、仕掛けをきれいにしてから再投入。アタリが無くてもこれを怠ると釣れる可能性は低いまま。13時半、叩きを入れた後の待ちで、ちょっと良さそうなアタリ。アマダイっぽくもあるがそんなに大きくない。テンビンを回収するとまったく予想外の品物が浮上。正体はイッテンアカタチ。釣り人の間ではコレが釣れるようじゃ今日はダメだ!と言われ、模様が悪い日ほどお目に掛かることの多いお魚。何年か前に釣ったことがあったが、あの日も魚がまったく口を使わない最悪の日だった。唐揚げや干物で美味しいと聞いたのでキープしてみる。その後、最後まで何が起きるか分からないので一応頑張ってはみたものの、本命からのシグナルは得られず、14時5分、納竿。今日は船上も海底も極寒の釣りに終わった。案の定、天気は前倒しで下船と同時に雨は本降り、今日はお楽しみの生シラスも手に入らず残念。


本日の釣果、アマダイ 1本(40cmジャスト)、アカボラ(ヒメコダイ) 8尾、オニカナガシラ、サクラダイ、イッテンアカタチ、イネゴチ。他、ガンゾウビラメとトラギス少々は放流。

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