フグ竿の話 (2004/01/26〜2004/02/12)

KOBIさん
前回、専用のフグ竿でアタリ出せなかったんで、極先調子のヘチ竿を新調しました。新調したと言っても、まだ竿は手元に無いんですけど・・・。先日、管理人さん馴染みの神田の櫻井に行って、イカダ竿、ヘチ竿を見てきて、最もフグに使えそうな竿選んで、今、竿尻に下栓を付けて、リールシートから竿尻までの長さを伸ばしてもらっているところなんです。和竿ではなく、カーボン竿ですけどね。長さは1.8mです。

管理人
フグに改造ヘチ竿ですか?これまた興味深いお話です。竿は「夕なぎ」ですか?今度詳しく教えてください。神田は改造も対応してくれるんですね。

KOBIさん
管理人さん、サクラのへち竿は『夕なぎ』です。さすがは管理人さん、ドンピシャです。
改造した竿は今日受け取ってきました。へち竿のグリップ部は短過ぎるので、12cmくらい伸ばしてもらいました。方法はオマカセでしたが、竿尻にカーボン素材の延長分が継げるようになっていて、延長部は糸で巻いて仕上げてあって、満足できる仕上がりでした。これで3千円は納得です。
東京湾のフグにへち竿とかを使うのは、前回誘いを受けた知人からアドバイスを受けたものです。低水温期のフグは相当にアタリが小さいので、オモリ負荷10号くらいの専用竿では、アタリが出ないんですよ。へち竿のような繊細な穂先にオモリの過重を掛けずにアタリを取るようにしないと、アタリを感知できないんです。前回も、専用竿使っていて、アタリを感知できずにエサを齧られていたのが、4回くらいあって、「こりゃ、それなりの竿じゃなきゃ、対応できないや。」と思ったんです。
でも、へち竿とかだとオモリを背負わないので、使用オモリは6号くらいが限界でしょうか。だから、本来は、使用オモリを10号くらいに統一している船ではルール違反なんですよね。オマツリしないことを条件に認知してくれる船宿でしか使えません。U屋やS明丸は了解もらえますけど、当然、その点は細心の注意を心掛けるつもりです。

管理人
KOBIさん、竿尻にカーボン素材を継げるようにしてあるんですね。なるほどね、そうですよね、リールシートずらすとリールから竿先までの長さが短くなるし、ガイドとの距離が縮まっちゃいますからね。延長分継がなければヘチ釣りもできますしね。(笑)ヘチ竿でも、もしオモリを底に着けた状態でアタリを取るのでしたら10号でも使えるでしょう。この手の竿だったら和竿もまた良いのでは?ヘチ竿より気持ち硬めの穂先にして、胴は張りのある丸節竹なんて感度良くてピッタリでしょうね。イメージできますよ。私はフグやったこと無いのですが、お話から想像するとこれまたシビアで嵌りそうな釣りですね。

管理人
KOBIさん、お時間があるときで結構ですので、フグ釣りについて教えて頂けませんでしょうか?細かいこと聞きますのでご回答可能な範囲で構いません。秘密事項がありましたらバラさないで伏せておいてください。メールで個人的に教えて頂いても結構です。(笑)
(1)釣り方に付いて
a.フグの釣り方にはカットウと喰わせがあると思いますが、KOBIさんがやられるのはカットウのみですか?以前そのようにお伺いしたような記憶がありますが。
b.ポイントの水深はだいたいどれくらいの幅がありますか?
c.狙うのは船下中心ですか?それとも遠投して探ったりするのですか?
d.誘いからアワセまでごく一般的なパターンでよいのでイメージを教えてください。これは難しい質問ですよね。例えば、カワハギのように叩きを入れたり上下の誘いを多用するのか?オモリを浮かした状態でアタリを取る頻度が多いか?・・・などできれば初心者に教えるイメージで。
(2)道具立てに付いて
a.使用するリールは両軸リールですか?(スピニングリールを勧めてる船宿もあると聞いたことがありますので。)
b.両軸リールの場合、竿の構え方は主に「肘当て」か「脇挟み」どちらですか?
c.両軸リールの場合、トリガーシートは必須だと思いますか?
d.道糸は何号を使用しますか?また先糸を付ける場合何号を何mくらい結びますか?(知りたいのは巻き上げたときに先糸の結び目を竿に巻き込むかどうか?)
e.使用するオモリは何号ですか?
f.竿の長さはどれくらいがお好みでしょうか?市販の竿はオモリ負荷20号前後で硬めのカワハギを1.5〜1.6mに詰めたようなイメージのものが多いようですが、これは外房仕様でしょうか?
質問攻めになってしまいすみません。私は和竿を製作するにあたり自分で体験した釣り物の和竿しか作らない主義なのですが、やったことの無い釣り竿を情報とイメージだけで果たしてどこまで作れるものか、今回ひとつのチャレンジとしてやってみたいとふと思い付いた次第です。ということで、KOBIさんに頂いた情報だけを頼りに、今年フグ竿を1本製作してみたいと思います。来シーズンまでに製作しますので、是非実際にご試釣して頂き、お伝え頂いたイメージがどこまで再現できているかを評価して頂けませんでしょうか?ダメならダメで大いに結構です。もちろんやったことない釣り物ですし、ただのチャレンジなので竿は無償で製作いたしますのでご安心を。もし実釣の結果、お気に入り頂いてお使いになられるも良し、こんな竿使えるか!っていうことで差し戻しも有りです。これ面白い企画でしょ?もしよろしければご協力頂けませんでしょうか?ご協力頂けるとしたらフグ釣り最低1回はいかなきゃ許しませんからね!(爆)

KOBIさん
ところで、フグ竿の件、突然のお話しでとても驚いています。そして、とても感激しております。管理人さんのチャレンジ企画ということにはなってはおりますが、お言葉に甘えていいのかどうか?・・・でも、是非お願いいたします(幸!)。ご質問への回答は、改めて書かせてもらいますので、よろしくお願いします。

管理人
フグ竿の件は私も突然の思いつきなのでお気になさらず。今までまともに作ったことのある和竿ってヘチ竿、カワハギ竿、シロギス竿くらいなんですが、どの釣りもけっこうやり込んで自分の好みのイメージ湧かせたり、依頼されるときはそれこそ色々好みをお伺いして、自分の経験と照らし合わせてイメージ固めるんです。今年は初めてマゴチの手バネを作るんですが、その他作ってみたい竿として、フグ竿、イワシメバル竿、ヒラメ竿あたりが頭にあったんです。ヒラメは少しだけ経験ありますが、素材が簡単に揃わないので意外と困難ですし、その他の釣りもなかなか竿作れるまでの経験ができそうになかったものですから、今回KOBIさんの改造フグ竿の話がきっかけでちょっとイメージが湧いてきたもんで、そんなことを思いついた次第です。それではご快諾ということでよろしくお願いいたします。勉強のつもりでやってみますので。

KOBIさん
フグ竿の件、よろしくお願いします。
管理人さんのご質問に答えさせていただく前に、私のフグ釣り歴とかを紹介します。紹介というより、正直に暴露します(笑)。
フグ初釣行は一昨年の9月で、今まで、たった4回しか経験がありません。「何だ、その程度の経験しかないのか。人選を間違えたかな。」とか思わないで下さいね(笑)。ちなみに釣り場は全て東京湾ですが、今後も東京湾のフグ釣りに拘りたいと思ってます。
私の経験や技量は大したことはないのですが、取り巻きは凄い!?ですよ。一応の師匠はKさんという、鴨居のマダイのタテ釣りとかではちょっと有名な方(T情報誌とかに『江戸前の釣り師』とかいう肩書きで、たまに出てますのでご存知かも。)なんですが、この師匠がちょっとウルサイんですよ。釣りについてはやたらにコダワルと言うか、何と言うか。「竿治の竿はやっぱり違うよ。」とか「江戸前のハゼ釣りっていうのはな…。」とか、挙句の果てには「K島(和竿と魚料理のアノ方です)には、俺が釣りを教えてやったようなもんだ。」とか「ビミニツイストを日本に持ち込んだのは俺らだよ。」とまで大風呂敷を広げる始末。でも、以前某デパートの和竿製作実演で竿治さんと話す機会があって、Kさんの知り合いですって話をしたら「Kさんは何が良いものかが分かる人だよ。」とか仰ってましたので、まんざらウルサイだけの人ではないみたいなんですけどね。
何で私がこんな人と知り合いかと言いますと、親父の釣り仲間だったということだけなんですけどね。そんな訳で、私のフグ釣行時には、この師匠とか、あとは師匠の仲間の某釣り雑誌の元編集人だとかが周りにいることが多いので、もし私が管理人さんの竿を使う時には、「うん?何だ、その竿は?ちょっと触らせてみろ。」とか、私よりも取り巻きの方がウルサイかもしれません。
ちょっと前置きが長くなってしまいました。これもイメージ造りの一つとご容赦下さい。

KOBIさん
さて、管理人さんのご質問に答えさせていただきます。
(1)釣り方について
a.釣り方はカットウのみです。(時期によっては、喰わせ限定で釣る深い場所も攻めることがあるようですが、これは対象外です。)
b.水深は10m前後です。釣り場は大貫沖のノリヒビ周りです。
c.船下狙い主体です。(キャストする釣法が有効な場合もあるようですが、私は船下狙いに拘りたいです。)
d.誘いは餌の冷凍エビをフグに見せるイメージで、5秒くらいの間隔で底から10cm程度上に誘う方法と、竿一杯に上に誘い上げた後に糸にテンション掛けずに餌を落とし込んで誘う方法の組み合わせくらいでしょうか。アタリはオモリを底に着けた状態で取るのが基本です。アワセは竿先に少しでも変化を感じたら即アワセするのが原則ですが、最初のアタリは見送って、次のアタリでアワセる方法もあります。アワセはカットウのハリス長が15cmくらいですので、小さく鋭くが基本です。大アワセとか聞き上げのアワセは用いません。落ち込みでアタリが出た場合は即アワセせず、オモリを一旦底まで落として、底でオモリ・エサ・カットウを一直線の状態にしてから、気配を見てアワセを入れます。
(2)道具立てについて
a.私が使用するリールはカワハギ釣りで使うような両軸リールです。
b.私の場合、竿の構えは「肘当て」です。
c.以前はトリガーシートに拘っていたのですが、今は拘っていません。
d.道糸はPEです。今のところ、根掛かり時の強度を考えて1.5号を使っていますが、なるべく軽いオモリを使いたいとの観点からは、もう少し細い号数を使いたいと思っています。次回は1号まで落としてみようと思ってます。先糸はポリエステルかフロロカーボンの4号を約1mです。道糸と先糸の結びは『電車結び&編み付け』です。原則的には、先糸の結び目は竿に巻き込みたくはないのですが、フグは針掛かりの後に上へ向かって泳ぐことがあるので、バラシを防ぐためにリールの巻上げが全速力になる場合があります。特にこの場合は巻き過ぎて結び目まで竿に巻き込んでしまうことが頻発してしまいます。
e.使用オモリは3〜8号くらいです。アタリをより明確に出すため、なるべく軽いオモリ(下限は3号)を使いたいのですが、乗合船での使用を前提にすると、5〜7号くらいが主体にならざるを得ないでしょう。状況によって10号以上のオモリを使わざるを得ない場合は、市販の専用竿を使うことになると思っています。
f.竿の長さは、カワハギで使い慣れている1.8m前後(1.6〜1.9m)くらいが使いやすいと思ってます。オモリ負荷20号くらいの市販竿は外房使用ですので、東京湾では全く使えません。
その他として、ちょっと気になっているのは、穂先の色なんです。穂先のちょっとした変化を目で感知する必要があると思っているので、穂先の色とかも大事なのではないかなどと思っています。

以上、こんな回答でイメージが掴めたでしょうか。管理人さんのことですから、「これで十分」とは思いますが、追加の質問等がありました、お待ちしています。私も何か書き漏れたことがあれば、後日加えさせてもらいます。

管理人
詳しいご説明ありがとうございます。なるほど〜イメージ湧きますよ。喰わせ釣りではないので、送り込んで食い込ませるとか、穂先が跳ねて食い込みが悪いとか、そういうことは無いんでしょうね。基本的にアタリを出すことが先決で、当たったら食い込みを待たずに即アワセと思ってよろしいようですね。先糸の太さと巻き込むは否かの話は、穂先のガイドの口径を小さくして感度を上げると、巻き込んだときに穂先が折れるので、けっこう重要なんです。一発で折れますから。4号で編みつけでしたら余り小さいガイドは使えませんね。また分からないことが出てきたら教えてくださいね。

管理人
そうなんですか、取り巻きの方が凄い方なんですね。うわ〜緊張するな、こんな企画やめておけばよかったかな。(笑)釣りする前にちょっと貸してみろ、ダメだこりゃなんて話になったら恐いな〜。取り巻きの方々は直接存じ上げている方ではありませんけど、私も竿治さんには何回かお目にかかったことがあります。アマチュアコンテストのときもスタッフをやっておられましたし、実演会などでも。竿治さんの竿、糸巻きが竿治塗りと呼ばれるレンガ色で仕上げられていて、すげ口は二重の糸巻きになっているので、竿みればすぐ分かります。K島さんも何回かお会いしていて、雑誌用の竿の写真撮っていただいたり、M助丸で一回カワハギご一緒したこともあります。そのときはH谷さんの取材で乗られていましたけど、竿治さんのカワハギ竿出してましたよ。その日はT情報の料理コーナーの裏話などお伺いしながら電車で一緒に帰った記憶があります。

KOBIさん
管理人さん、穂先は極先調子って感じでイイのではないでしょうか。市販竿の調子でイイなぁと思ったのは、先日購入したSAKURAの夕なぎと、シマノで最近モデルチェンジした青波巧のエビ調子です。このあたりの竿はヘチ、筏の竿としては極先調子ですよね。青波巧の竿の調子はシマノの2004総合カタログに写真が出てますので参考になるかもしれません。・・・ほんと、楽しみだなぁ。よろしくお願いします。

管理人
KOBIさん、フグ竿、イメージ付いたはずだったんですが、実際に穂先削り出していたら、やってるうちにだんだん迷いが出てきたものですみませんでした。参考にさせて頂きます。今度穂先だけ見てもらおうかな〜。

KOBIさん
フグ竿の穂先のことで、少し補足します。調子のことではなく、穂先の先径のことです。夕なぎの穂先の先径は0.5mm、青波巧エビ調子の先径は0.35mmなんですが、今までこのような極細の穂先の竿を使ったことがない私の感覚としては、さすがに0.35mmの先径はかなり細く感じられて、オモリ負荷や良型のフグの取り込み(抜き上げ)等でやはり不安に思ってしまいます。ただ、これは私の経験の無さゆえの不安なので、黒鯛釣りに精通されている管理人さんの感覚ならば『問題なし!』というレベルのことなのかもしれません。
でも、いくら穂先に鋭敏さを求めると言っても、やはり先径は0.5mmより細くはできないのではないかと推測しています。さらに言ってしまうと、実用性を考慮すれば、0.7mmくらいでも十分なのではないかと思っているのですが・・・。いかがでしょうか?(穂先の削り出しの工程まで進まれているのに、こんなこと言ってもいいのかどうか分かりませんが。)

管理人
KOBIさん、ありがとうございます。穂先素材のグラスソリッドで候補が何本かありまして、一番イメージに近いものを少し削って調子を整えていたんです。竿作るとき既製の穂先がそのまま使えないときは最初に調子を出して決めてしまうので、着手と言ってもlまだ最初の準備段階です。削ってるグラス穂先は15年ほど前に購入した黒鯛のツブ(イガイ)専用調子とうもので、オモリを下げても先の10cmくらいしか曲がらない極先調子のものです。(夕なぎよりももっと先調子です。)ちょっとテーパーをゆるくした方が良いかどうかと考えています。

フグ竿完成

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