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2023/11/20
番外編 電動リール用電源コードの作り直し−その4
つまらない話ですが、今からちょうど6年ほど前、自作電源コードの話を3回に渡って書いたことがありました。

@2017/12/05 「番外編 電動リール用電源コードの作り直し−その3
A2017/11/19 「番外編 電動リール用電源コードの作り直し−その2
B2017/11/15 「番外編 電動リール用電源コードの作り直し

あれ以来、「その3」で載せた赤と青の1.25sq(注1)のVSF(注2)2本寄りで作った電源コード1本が6年経っても今だに現役で、1回も不具合が起きずに、まだまだ使えそうな状態。自分でヘビーな使用にも耐えうる形のモノを作ったつもりでしたが、6年間で数えてませんが、ざっと250回以上の釣行でまったくヘタっていません。

下の写真は当時作った3本の現在の状態。使用中の1本(写真手前)以外の2本は手つかずの新品で1本は毎回予備で持参していますが、今のところ出番なし。(1回、電源コードお忘れのお客様にお貸ししたことがあったかも?)



2本拠りにしているので拠りが戻る力が働いてやや丸まろうとするクセがある程度で、軽くて釣り中もコードの存在感ありませんし、使用上まったく問題無し!よって、特に作成する必要はないのですが、丈夫過ぎてちょっと飽きたというのもあって、しばらく振りに新しい電源コード作ろうかなというのが今回の話です。

(注1)sq:JISが規定するスケアという電線の断面積を表す単位。数値が大きい方が太くなり、許容電流も大きくなります。ご参考のため、「AWG(アメリカン・ワイアー・ゲージ)との対応表」をリンクしておきます。

(注2)VSF:導体は複数の細い銅線でできていて、外部がビニールで被覆された単線。

そういえば、一点だけ改良した部分がありました、それがワニ口クリップ。以前、作成した際はたぶん鉄(もしく黄胴)にニッケルメッキを施した安価なモノを使用していました。最初は特に問題無かったのですが、釣行回数が増えるにつれて、毎回洗ってはいるものの、どうしても錆てくるので、1組¥1,500超と少し値が張りますが、ステンレス製の「テイシン電機 バッテリークリップ30A(ステンレス製) C-531S」に取り換えています。



これは洗い方がテキトーでもまったく錆がわかずにかなりの優れモノ。1回これで作っちゃうと普通の使う気がしなくなります。

続いて電線の太さの話になりますが、前回の考察では、0.3sqだとD社の200番くらいまでは大丈夫、400番クラスだと電流が大きく焼き切れてしまうため、1.25sqあれば安全という結果でした。実際、1.25sqで丸6年間、アカムツなど400番を使用する釣りでもまったく問題ありませんでしたので、実戦で証明済みと言えます。
今回は電線片極2本の並列(注3)使用で4本編みにしようと思いますので、200番クラスが余裕で使用でき、あわよくば400番クラスでも大丈夫そうな0.5sq×2本で作ってみたいと思います。
0.5sqを選択した計算はこうです。断面積が1.25sqが1.31mm、0.5sqが0.519mm、よって0.5sqが2本だと0.519×2=1.038mmと、1.25sqにだいぶ近くなるからです。0.75sq×2であれば1.25sqを軽く上回るので余裕なのですが、それ故、大幅に重さが増すのは必至。これが理由となります。
4本編みの理由は2本を撚るより編んでしまえば撚り戻しの力が発生しないことと、柔軟性が極めて良好で取り回しが良い質感で仕上がるという点でしょうか。あとは見た目カッコイイかな!?

(注3)並列:電源の片極に複数本の電線を使用する接続方法。同じsqの電線を2本並列で使用すると、合計断面積が2倍になるので、単純に許容電流が2倍になります。住宅のAC100Vでの使用、もしくは工場などの高電流下における適用にはかなり細かい規定があります。
というのは2本並列で許容電流をカバーしていても、どちらか1本が切れた際にもう1本に過大な電流が流れてしまう結果、発火、火災の原因になりえるのがおおよその理由です。また異なる仕様の並列使用は禁止で、各電線の太さや長さ、抵抗は同じものでなければならないというのが規定になります。
ただし、今回はたかだかDC14V程度で、もし障害が起きても釣りの最中に電線から煙が出るか、リールが巻き上げ中に止まるか程度ですので自己責任という判断になります。

前置きが長くなりましたが、そろそろ制作に入りましょう。



0.5sq(AWG20)の被覆電線(VSF)4色2mを四つ編みにしていきます。慣れるまでは途中で間違えたりけっこうメンドーですが、数こなしているウチにこの太さで2mだったら30分くらいで編み上がります。なんで私が慣れているかは、ヘッドホンケーブルの自作なども趣味でさんざっぱらやってきたから。



最後、ワニ口クリップを取り付ける側はプラスとマイナスで2本を1本に拠って先端は2本をハンダで1本にまとめます。編み込みが緩めに見えるかもしれませんが、あまりキツく編んでコードにストレスを与えると発熱しやすくなるので、あえて締めつけずに編んでいます。



編み終わったらほつれ易い要所は熱収縮チューブで固定しておきます。ちなみに熱収縮チューブの加熱はいろいろやり方がありますが、私は一番閉所での細かい作業に適しているアルコールランプを使用しています。



予めリールの電源ジャックに刺さるように整形して置いたマイクプラグの接続端子に電源コードをハンダ付けします。色で言うと赤と黄色がプラスの並列、青と緑がマイナスの並列となります。決まりはまったく無いのですが、自分で判り易くしただけ。ハンダ付けのやり方は、ソレひとつ取っても奥が深いですし、話が釣りから逸れ過ぎてしまうのでここでは割愛させて頂きます。



プラグに付属している内部絶縁パイプで覆ったら、防水、防塩のため2液性のエポキシ接着剤を充填して固めてしまいます。これさえきちんとできていれば、耐海水対策は大丈夫だと思います。エポキシ接着剤は固まっても石のように固くはならず、やや柔軟性を保持するため、衝撃でヒビが入ったりしないその性質がこの用途には適しています。



バッテリー側は前段でご紹介したテイシン電機のステンレス製ワニ口クリップに接続します。電線2本を1本に拠ってハンダ付けし、Y型端子(2Y−4)に圧着した後、さらにクリップにネジ止め。Y型端子から5cmくらいは熱収縮チューブで補強し、電工ペンチでクリップの歯をカシめて固定したら、最後はこちらもステンレス以外の部分(Y型端子とその周り)は防水、防塩のため2液性のエポキシ接着剤を充填して固めてしまいます。



リール側のプラグもハウジングしたらネジ止めして固定。差し込み口の抜け防止リングネジは付属してはいますが、リールとの規格が合わないので、切り外してしまっています。よって、リールのジャックにはプラグを刺すだけとなるため、釣り中に抜けないようにギリギリ刺さって簡単には抜けないくらいに削って径を合わせるのがポイント。



上記まででも十分かと思いますが、防水性をさらに高めるため、この上からプラグ全体を熱収縮チューブで保護し、コードとの隙間を2液性のエポキシ接着剤を充填して固めてしまいます。プラグからコードの出だしの部分は実戦で曲げ伸ばしが多い箇所なので、普通だと熱収縮チューブで3cmくらい補強するのですが、今回は4本編みのため隙間ができてしまうのと、そもそも柔軟性が十分なので、あえて使用しませんでした。



ワニ口クリップのカバーが硬いので、写真のようにハサミで1cm程度切り込みを入れて置くとバッテリーへの着脱が楽になります。ほんの一工夫がけっこう重要。



細かいトコは端折りましたが(けっこう細かい?)、これにて完成。早速、今週使ってみますかねぇ。



400番で実験して焼き切れたら困るので、同時に2本作製。以上、長々とつまらないお話で恐縮でした。



2日後、ウィリー五目で使ってみました。リールはD社のSB200番、PE2号を300m巻き。実釣は水深は30〜40mちょいまでで、使用ビシはちびライト60号。使用感は、大変軽く、捻じれグセなどまったく無く、存在感を感じさせず、一日釣りに専念することができました。長さがちょっと短めなので、お隣さんとオマツリした際に、そのまま竿持って移動はできませんので、そういう場合はコードハズしちゃえばいいので気を付ければ大丈夫。しばらく使ってみて異常が無ければ自分史上最高のデキかもしれません。あとはアカムツで400番使ってどうなるかだけ。ダメならダメで今までので十分間に合いますしね。

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